【赤坂見附の10坪店舗<空中階>】 意を決しての開業から「つぶれる」かもと思った瞬間、予約殺到の人気店になるまでの過程、これから飲食店開業する方へのヒント。「赤坂らいもん」の高橋さんインタビュー続編です!〈後編〉

10坪の可能性を信じ、挑戦している方のお話を聞く「10坪ストーリー」。

いまでこそ予約殺到・超人気の焼肉店・「赤坂・らいもん」にも、当初は空中階ということもあっての経営の苦労があった。オーナー・高橋さんのインタビュー続編です!

 

■店名「赤坂らいもん」の由来

白金にある「金竜山」は、白金の「金」、辰年生まれのママにちなんで「竜」、そして神様は「山」に宿るということから名づけられました。浅草寺の山号である金竜山とは偶然、一緒になったんですが、金竜山浅草寺と言えば「雷門」。これをひらがなにして、店名に地名が入った方がしっくりくるなと思って、いまの店名「赤坂らいもん」に決めました。浅草ではなく、赤坂の雷門(らいもん)というわけです。

■なぜ、空中階を選んだのか?

赤坂見附には土地勘がなかったのですが、港区界隈のお客さまが通えるエリアならどこでもいいと考えていました。いまの物件は、空中階(赤坂らいもんはビルの4F)だったので、家賃が安かったんですが、わたしたちが入居するまで2年も空室だったそうです。大家さんも「ここではどう考えてもお客さんが来ないだろう」と心配なさっていました。

でも、空中階の家賃の安さは路面店とは比べものになりません。いまのお店が坪単価約1万5000円、これが路面店なら約5万5000円ですから、その差は大きいですよね。

いいものを出せれば、どこでも成功できるという自信があったんです。

 

■開業早々にピンチにおちいる。打開してくれたのは「焼肉」

金竜山のお客さまにも独立することは何も伝えずに開業。すごく暑い夏日だった記憶があります。

開業から売上がゼロに近い日が3か月以上も続いて、「これはつぶれるかなぁと」、いきなりピンチが訪れます。

そんなある日、ランチをメインで営業していたのですが、お客様に、ご迷惑をかけてしまい急遽夜の焼肉営業をしました。その中のお客さまのおひとりがフェイスブックに挙げてくださったんです。これが翌日からネットで拡散し、徐々にお客さまが集まるようになりました。

ピンチがチャンスに転がったのか、まったくの偶然なんですが、お客さまにお店の名を広めてもらったんです。

■予約殺到・人気店になって思うこと

おかげさまで人気となったことのメリットは、予約が決まっているので、お客さまの好みに合わせて、いい食材が仕入れできることです。予約が多いことは、仕入れ先にとってもメリットがあるので、いい肉を優先して回してくださいますし、好循環が生まれます。

あえてデメリットを言うと、たとえどんな不幸があっても休めないことですね。けれど、飲食店を起業している方ならみなさんが向き合うことでしょうし、それは仕方ないことですよね。

■これから10坪飲食店を始める人へのアドバイス

焼肉の業態を選ぶのであれば、サービスのスピードが大事です。

なので、現在の「赤坂らいもん」のように10坪規模で3人のスタッフでまわすような運営スタイルならお客さまに対応しやすいですし、お店の雰囲気もすべて見渡せるので参考になるかと思います。

空中階は基本的に難しいと思われがちですが、やりようはあります。お客さまに広めていただけるようなメニューやお店をつくることです。

10坪店舗をつくる際、客単価にもよりますが、できるだけ広く感じてもらえるように席数を減らしてでもテーブルを広くとる、厨房もできるだけ広く冷蔵庫もなるべく大きなものを入れるという工夫が大切かなと思います。狭い店は仕込みが大変なんです。

また、リピーターを増やそうとするなら、お客さまと仲良くなろうとする気持ちも大切です。わたしたちは時間が許すかぎり、一緒に階段をおりてお客さまをお見送りしています。

10坪だからこそ細かい気配りもできるはずですし、お客さまを大切にすればお客さまもお店を大切にしてくれるものだと、あらためて自分のお店を持つと実感しています。

 

高橋さん、取材のご協力、ありがとうございました! 

大人気店の陰にも苦労があったとは、驚きでした。10坪飲食店のためのリアルなアドバイスもありがとうございます。空中階でこれから勝負をしようという読者の方も多くいらっしゃるかと思います。そんな方へのヒントもたくさんあったのではないでしょうか。

取材時に、「赤坂エリアは焼肉激戦区だからやりがいがある」ともおっしゃっていた、高橋さんのこれからも超楽しみにしています!

【店舗情報】

店舗名:赤坂 らいもん

電話:03-3583-7012住所:東京都港区赤坂3-9-12 メトロビル 4F

アクセス:東京メトロ「赤坂見附」駅から徒歩2分

営業時間:

[ランチ]不定期(事前にインスタで告知)

[ディナー]不定(月に数日程度)

<食べログ>

https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130801/13224635/

kazuki nishiyama