【赤坂見附の10坪店舗<空中階>】 “行列必須”“予約困難”の超人気・焼肉店誕生のきっかけは、“一本の奇跡の電話”でした。伝説の店「金龍山」からの独立。「赤坂らいもん」のオーナー高橋さんに独占インタビュー!〈前編〉

10坪の可能性を信じ、挑戦している方のお話を聞く「10坪ストーリー」。

今回は、日本一予約がとれないと言われる有名焼肉店「金竜山」から2018年に独立。いまでは本家にも勝るとも劣らない人気店にした「赤坂らいもん」の高橋さんにお話をうかがいました。

 

■ごく普通にいそうなアルバイト青年が出会った、超有名店「金竜山」

岩手県から上京して、最初は飲食店、その後にコールセンターで働いていました。東京まで出てきて「オレは何をやっているんだろう」と思い悩んでいたときに、たまたまタウンページで見つけた焼肉店「金竜山」に電話したんです。「金竜山」が有名なお店とも知らず、住んでいたところから自転車で通えそうだったからって理由で電話したんですよね。

金竜山は、ふだんなら留守電話専用でほとんどつながらないはずなのに、オレがかけたときは、偶然にもお店のママが電話に出てくれたんです。15年くらい前の話ですね。いま思うとありえないことだったみたいです。

それからは、昼間はコールセンター、夜は「金竜山」でバイト、その後に雀荘で働くというような毎日でした。アルバイトをかけもつような若い子っていまも多いと思いますけど、オレもそんなひとりだったわけです。

 

■地元で開業を考えたが……。「金竜山」に戻る

他のバイトはぜんぶ辞めて、焼肉の仕事に集中しようと「金竜山」一本に絞って、たくさんの経験をさせてもらいました。それからオレも地元・岩手で焼肉店がやりたくて、いったん地元に帰ったことがあります。

岩手だと「安くて“そこそこ”おいしいもの」が求められる。金竜山とは当然、客層も客単価も違うわけです。物件も探したんですが「ピン」とくるものがなくて、きっかけができるまでの間、精密溶接の仕事についていたんです。

そうこうしているうちに、金竜山にちょっとしたピンチが訪れて、「手伝えることはないか?」と連絡があり。平日は岩手で働いて、土日だけ新幹線で東京に来て、お店を手伝うということを続けていました。

週末ごとに東京に通い始めて数か月経ったときに、オレも決心して、「よし、金竜山の仕事を引き継ごう」と、岩手の会社を辞めて、金竜山に戻ったんです。

これがいま思うと人生二度目の転機かもですね。

 

■「金竜山」の“もったいない”から、気づいた新店へのヒント

「金竜山」では、黒タン(黒毛和牛のタン)をたくさん仕込むんですが、お客さまが上タンばかり注文されることもあって、せっかくの上等な部位なのにムダになるところがあったんです。

「この上等な素材から、なにかメニューがつくれないかな」と思ったのが、いまのお店のきっかけです。

そこで、まずはランチでタンシチューを提供するお店をやってみたいと考えたわけです。

10坪規模の店舗であれば、タンシチューのランチだけで1日の売上5万円いけば……、それには客数40人がノルマだ……、ランチタイムだけで4回転できれば……と、逆算してお店をスタートしました。

金竜山の社長には心配をかけさせたかもしれません。

でも、自分のアイデアを具現化してみたいと、チャレンジしたんです。

 

高橋さん、取材のご協力、ありがとうございました! 

10坪不動産のために、ふだん滅多にお受けしないというインタビューに応じていただきありがとうございました。せっかくの素材をムダにしない発想と、小さな規模からのチャレンジ。飲食業開業をする読者の方へのヒントになるかと思います。後編では、人気店になるまでの道のりや苦労、さらにこれから飲食業で開業を目指す方へのアドバイスを紹介します!

【店舗情報】

店舗名:赤坂 らいもん

電話:03-3583-7012住所:東京都港区赤坂3-9-12 メトロビル 4F

アクセス:東京メトロ「赤坂見附」駅から徒歩2分

営業時間:

[ランチ]不定期(事前にインスタで告知)

[ディナー]不定(月に数日程度)

<食べログ>

https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130801/13224635/

kazuki nishiyama