【船橋の10坪店舗】「船橋コーヒータウン化計画」は、ひとりの常連の遺言から始まった!? “人の想い”に応えて起業した「ドトールコーヒーショップ船橋駅南口店」「Philocoffea」オーナー・梶さんにインタビュー!〈前編〉

10坪の可能性を信じ、挑戦している方のお話を聞く「10坪ストーリー」。

今回は、「ドトールコーヒーショップ船橋駅南口店」を全国屈指の売上を誇る店に育て、船橋コーヒータウン化計画も企画する、「Philocoffea」「RUDDER COFFEE」のオーナー・梶さんにお話をお聞きしました。

■コーヒー党&ヘビースモーカーの常連さん

ジャーナリスト・作家の落合信彦さんの小説にあこがれ、世界を舞台に億単位の仕事がしてみたくて、大学卒業後は石油商社に入社しました。

学生時代は、父が経営するコーヒーショップでアルバイトしていて、その店に1日に4回も5回も来店されるお客さんがいらっしゃいました。

ある日、その常連さんが「これだけ何杯も濃いエスプレッソを飲んでいるし、タバコも吸っているから、からだに悪いだろうね。たぶん、俺、そのうち死ぬかもよ」なんて言うんです。加えて、「2004年に船橋に駅ビルができるから、俺が死んだときは、そこでカフェをやってくれよ」とも言われていたみたいなんですよね。

■常連さんの遺言が、起業のきっかけ

「みたいなんですよね」というのは、その言葉を真に受けていなかったからです。

父が経営するとはいえ、僕は単なるアルバイト、店の息子ということなんて知る由もない常連さんがひとりの若者に話すことなんて、冗談に決まっています。なので、常連さんとの会話のことはすっかり忘れて、商社でバリバリ働いていたんです。そんなときに、その常連さんがガンでお亡くなりになったことを知りました。

僕が26歳のときのことです。そこで、僕の人生の転機が訪れます。

法要が終わった後日、常連さんの奥様とお目にかかる機会があって、「当時、あなたに主人が言っていたこと覚えているかしら? 来年に船橋に駅ビルができます。あなたに主人の好きだったカフェをやってもらいたいんです」と言われました。聞くと、常連さんと奥さまは、駅ビルの地権者だったんです。

単なるいちアルバイト店員と常連さんとの冗談みたいな会話が、遺言のようにもなり、僕の起業のきっかけになったわけです。

■自分のやりたいことより、人の想いにこたえる生き方

当時を思い返せば、学生時代に僕が常連さんにしていたことは、来店されたら注文される前に、すぐに灰皿とエスプレッソを出していたくらいです。「そんな僕に、なんで、そんな依頼(遺言?)が?」と思いました。

また、商社の仕事も楽しくてやりがいがあったので、ありがたいお話でしたが、最初はお断りしたんです。でも、「私たちの区画は、あなたにやってほしいと主人に言われている。あなたを応援するからお願いします」とも、奥さまが言ってくださって……。

そんな気持ちをむげにもできないし……、決断を悩んでいたところ、母親に相談すると「自分のやりたいことではなく、人の想いにこたえる生きた方がある」とも言われて……。

悩みましたが……、その言葉に背中を押されて、船橋の駅ビルの一画に、ドトールコーヒーショップ船橋駅南口店をオープンし、起業することになったんです。

2004年、27歳のときのことでした。

‐梶さん、取材のご協力、ありがとうございました! 

親戚でもないひとりのお客さんとの出会いをきっかけに起業した梶さんの決断に驚きです。とかく、自分の夢を叶えるために起業する人が多いなか、“人の想い”に応えるために起業したという点が稀有なものと感じました。

後編では、起業後に、成長と拡大を続けた梶さんのコーヒービジネスについてお聞きします。

【※取材店舗情報※】

店舗名:Philocoffea Roastery & Laboratory

住所:〒273-0005 千葉県船橋市本町2丁目3-29

営業時間:9:00~18:00

定休日:不定休

電話番号:0474-60-9400

JR船橋駅徒歩7分

店舗名:RUDDER COFFEEシャポー船橋店

住所:〒273-0005 千葉県船橋市本町7-1-1 シャポー船橋南館内1階

営業時間:7:00~22:00(月~土)、07:00~21:00(日・祝)

定休日:無休

電話番号:047-409-5655

JR船橋駅徒歩7分

ホームぺージ:https://philocoffea.com/

kazuki nishiyama